それは、情報を得ればわりと簡単にできた。

ふじさわ島の隠し階段を下った奥深く、
地下とは思えんほど広く、明るい場所・・・

その閉ざされた密室に、奴はいた。


癖の強い長い黒髪、ポニーテール、
白い大きなシャツをだらしなく着て、
ジト目でじっと、僕を見ている。

「あんた、誰?」

意外にも、その見た目は外の「ふじさわ」とは違って、
中性的ないでたちの幼い少年だった。

12〜14歳といったところだろうか?

「僕は藤沢霧丸」

「僕と同じ名前・・・」

「僕はお前だもん」




「で、何しにきたの?瑠璃を殺そうとしたのは僕だけど、悪いのは瑠璃の方じゃん。
瑠璃がヒロアカなんて欲しがるから悪いの。
せっかく僕は誰にも邪魔されずに大好きな忍たま乱太郎に囲まれて暮らせると思ったのに・・・

だから排除するの。忍たま乱太郎以外は、全部」


ここで
「瑠璃だって好きなものがあるんだから」
「大人になったら忍たま乱太郎だけじゃ生きていけない」
「あなただって忍たま乱太郎が好きだからって同じことされたらどうなの?」
と、説教しても無駄である。

「お金の無駄」だとか、
「何度もされたからもう慣れた」とかいう答えが返ってくるだけだ。



コメント欄にあった、
秋葉原の通り魔事件について調べてみる。
あの事件も、毒親が原因だというのは・・・

参考:加藤智大の生い立ち【秋葉原通り魔事件】 - NAVER まとめ
   https://matome.naver.jp/odai/2137473015179980301

僕の家もそうだった。
両親が気に入らない作品のグッズは全て処分され、
話さえ禁止された。

親はポケモンが嫌いだった。



持っていた漫画は全部ブックオフに売られた。

母親は忍たまの山田利吉が好きだったから、
忍たまは許されていたが、
親が嫌いなポケモンが流行っていた学校では、
忍たまはつまらないものとして扱われ、
僕はアウトウェイだった。


「辛かったな・・・せっかく集めた漫画を捨てられて・・・」

「せっかく忍たまたくさんになったのに、
霧丸が瑠璃と一緒にヒロアカに夢中になって、
この家がヒロアカ屋敷になったりするんじゃないかって不安になる」

だから彼は、彼にとって気に入らない物であるヒロアカを拒絶するようになったのだろうか。

「それはないよ。僕だって忍たまは大好きだし、僕もヒロアカって何がいいのかわからない」

「ホント?霧丸、嘘つかない?」

「でも、それ瑠璃の前で言っちゃダメだよ?瑠璃君傷ついちゃうから・・・僕の前だったら色々言ってもいいからな」

「なんで霧丸は、自分が読まないのにヒロアカ集めてるの?側から見れば霧丸、変な人だよ」

「瑠璃だって生きてるんだよ。だからヒロアカは、ただ瑠璃のために置いてあるだけ。他人の漫画を置いているだけ」

「あんま度が過ぎてると、解離性人格障害だ!とかってなりかねないよ」

「タルパーという、他人と同居するって道を選んだ以上は仕方ないwww」

「僕も名前が欲しい。あと外に出たい。この鎖切って・・・」

僕は、足元の鎖を切った。

「わかった。お前の名前は『幻影(ブログ上の呼び名)』だ」

「まんまじゃん・・・」

そして僕は彼にあるものを渡した。
アクアオーラ・・・僕が唯一、自分の意思で愛した石だ。


「彼の方は、まだ・・・」
ついに爆発した。
せっかく築いてきたモノが壊れてしまう気がした・・・
(まぁ元から異常気象で体調不良気味だったけど・・・)

そんなわけで早退して、
ふとブックオフへ。

先日破いたヒロアカを買い戻す以外にも、
欲しいものがあった。

ワールドトリガー

僕が以前(といってもアニメ化する前だが)に集めていた漫画だ。
高額買取されてるとのことで、以前は売ってしまったが、
ヒロアカと同じジャンプ系であるとのことで、近くにあったために再会。

スタイリッシュなタイトルと絵がスッキリしている事で惹かれる。

瑠璃にはヒロアカを破り捨てたことを詫び、
続きと買い直した1巻を与える。

「あら、嫌じゃなかったんですか?」

「ごめん・・・でも『諦める』ってことは、まだお前もヒロアカ読みたかったってことでいいんだよな?」

「そうですよ?ヒロアカ好きですから!
・・・で、その本はどうしたのですか?貴方が忍たま以外に興味を持つなんて珍しい」

瑠璃がワートリの単行本を指差して言った。

「好きだった漫画だよ」

「・・・へぇ。私にはとても面白そうには見えませんが・・・」

「・・・それはオメーのヒロアカのことだろ」

・・・

・・・

「・・・しかしアレですね、霧丸さん、同じことの繰り返しではまた変なものが寄ってきますよ」

確かにそうだけど、
どうしろというのだ・・・?


コメント欄にあった、

「アダルトチルドレン」という単語。

それの中心的な存在として、
インナーチャイルドという存在があるらしい。

僕はどうやらそいつに会ってみる必要があるそうだ。


そこで調べて行くうちに思ったこと。

下手なカウンセラーに頼るより、

謂わばダイブの要領を、活かせたりしないのだろうか?



傷ついたふじさわが、島の奥にラスボスのごとくいる現象・・・

「仮にそのふじさわが悪いにしても、傷つけたら、今度は忍たまとか過去からのものが失われちゃうんじゃない?」

長女が言う。

そもそも、黒幕は闇落ちした「ふじさわ」か?それとも、別にいるのでは?

瑠璃の前で合意の上でヒロアカ1巻を破った。
瑠璃自身が、藤沢家の住人でいることを望んだからだ。

「ヒロアカを捨てるか、藤沢家の住民権を捨てるか選んでよ」

そういって捨てたのが、ヒロアカだった。


約束通り、僕はヒロアカを破る。
細かく、細かく破いて、
賞味期限切れのケチャップで真っ赤に染めて、
この汚物を水攻めにした。

「これが忍たま乱太郎の原作(落第忍者乱太郎)だったら?」

もう散々それに関しては酷い目にあってきたから、
慣れてしまっていた。

嫌ならいいよ。見ないでくれて。


ただし、うちの場合、
それができないから困るのだ。

まぁ、瑠璃ももう受け入れて、
もう余計なことはしないといって、
一緒に忍たまを見ようと誓った。

だから瑠璃はもう許した。うん。



いやしかし、
本当にヒロアカって何がいいのかわからなかった。

特にお茶子が嫌いでね。
昔銀魂大好きで、特に万事屋大好きだったからね、
ゲロイン同士、神楽ちゃんと被るのが辛いんだよね。

まぁ単にヒロアカ自体が合わなかったってのが大きいが。


瑠璃がいい子になったから、
お茶子に似た思念体を作ってストレス解消に使おうか迷ってる。
嫌いなキャラだからこそ、殴りたくなるのが人の性。

「藤沢霧丸を虐待してた時に止めておけば・・・」

瑠璃が小さく言った。
自分だから別に・・・


「自分だから・・・じゃないんです」
瑠璃が左の袖を捲った。
そこにあったは、肘のあたりまで刻まれたリスカ痕。

「私もね、霧丸さんと同じだから、気持ちがわかるんです。
私の場合は先住民の相方さんや、霧丸さんが無駄に人を増やそうとしていることで、
自分が嫌になって傷つけていました。

最初は、軽く一本線を引くだけで痛かったですが、
今はもう痛みを感じないんです。
当たり前みたいになっているんです。

霧丸さんの心も、もしかしたら同じなのかもしれません。
ヒロアカの件はすみません。
でも・・・」

瑠璃はそう言って、持っていた刃物で手首をさっと切り、
腕をだらんと下ろした。

流れた血が、指先し滴る。

それを・・・僕の頰に添える。
鉄の匂いがする。
気持ち悪い。

「霧丸さん、私だって血が流れて、生きているんです。
お願いです!ヒロアカはもう諦めますから、私を殺さないでください!
霧丸さんのお金を無駄遣いさせてすみませんでした!!

でもお願いです・・・
そこまで言うなら、何があっても絶対に忍たまを嫌いにならないでくださいよ!!」

瑠璃は強く言った。

アホか。嫌いになんてなるものか。

お前も、忍たまも・・・
2019.03.15 決別
瑠璃とは完全に決別した。
理由は当然、瑠璃がヒロアカなんて糞以下で低脳なものをまた強請ったから。

あのねー、意味がわからないんだけど。
ぶっちゃけ、要らなかった。

もう何もかも。

忍ミュのチケットも取れて、
喜んでる最中でまたヒロアカ・・・

チケットで金がない中、
ヒロアカねだり。

意味がわからない。


瑠璃を殴る。


殴る。


何度も何度も。


余計なものは要らない。


醜くなった瑠璃。


「霧丸さんが忍ミュの時にパニックで苦しめばいいのに」

なんでそれと底辺ヒロアカが関係ある。

お前が悪いんだろ。
こんなクソ以下なものを欲したから。

僕はわからない。

僕のヒーローアカデミアなんて駄作の何処がいいのか。


このヒロアカとかいう目障りな作品が信者共々消えて欲しいと願っている。


瑠璃は僕が帰るまでに、
ヒロアカ辞めて、目の前で単行本を破り捨てさせてくれるか、
藤沢家を辞めるか決めておけと言っておいた。

どっちを取るだろうね笑

まぁ、僕はヒロアカ辞めるならいて欲しいけどね
2019.03.15 幻想のヰドラ
なんで僕は三から先に進めない。

3といっても、瑠璃はアレだから事実上2だ。
ヒロアカなんて下等な作品はどこがいいのかわからん。

だから事実上は長女と相方。
安定してるのはそれだけ。


これは僕の力不足だ。

ああ羨ましい。
複数作って平和に過ごしている人が・・・

まぁ、数が多ければいいってものじゃないのは重々承知なのだがな・・・


ただ、僕の場合、
4人目というのは姿形は存在しなくても、
気配を感じる。

4人目。それは、初代だ。
初代は先日書いた通り、散り散りになって、
今の3人に宿った。

ただ、僕があまりにも困ったりしてると、
稀に精神世界に現れることがあるようで・・・

「量が多ければいいってもんじゃない!」

と、よくしかりに来る。

まったく・・・そんなこというなら、出てきて一緒に過ごしてもらいたいものだ。