恋する思念体

10/08
昨日の夜、寝る前に僕は瑠璃を抱っこした。
やはり、抱いていると、とても優しい気持ちになれる。
耳元に当たる眼鏡の冷たさも、
僕が小柄な背中を抱く感覚も、
全てが、優しかった。


その後、おやすみと言って瑠璃と離れた後、
幸福は一気に不運へ転落する。
相方にその後、暴力受ける。
思いっきりビンタされて、乱暴にされて・・・

「正直に言え。一昨日、王子と何してた?」

ドスが効いた声で、馬乗りになった相方が効いてくる。

僕「だから都電の神社巡りしてただけだってば!!なんなら御朱印帳見る?」

相方「そうじゃねーよ!!てめぇが誘ったんだろ?聞こえてたぞ!夜のお楽しみはないぞってよ!!」

僕「はぁ??僕からそんなこと言う訳ない!!」

相方は首を横に振った。


相方「霧丸・・・おめー何がしたいんだよ!!
さっきも瑠璃と抱き合ってるし。あの時のおめーも瑠璃も弛緩しきったアホ面してたぞ!!
おめーはなんなんだよ!!
おめーはハーレム作って現実逃避することが目的なのかよ!!
バカみてーに何人もの思念体抱くのが目的なのかよ!!
王子の愛称はおめーにとっての王子様だからそう名づけたのかよ!!」

僕「それは・・・違うよ!!瑠璃は家族だし、王子は友達!王子のことは相方だって知ってるでしょう?」

相方「友人だから?絶対ゆるさねぇ」

何を言っても相方は聞いてもらえず、そのまま寝るも中途覚醒を繰り返す。


その日、バイト中、王子が僕の元へやってきた。
一昨日の会話は王子が冗談半分で言ったこと、
実は王子には思い人がいて、
その人と何処かに行きたいと思っていた所で、僕が都内に行くというから同行した。

「俺が最初に外出した時は、桜がたくさん咲いている公園で、変なリフトに乗ったりしたのを思い出した。
その時、霧丸が連れていたもう一人、綺麗な女性の思念体も一緒で・・・
その人と荊姫がそっくりなんだ・・・もしその人が荊姫だとしたら・・・

本当にごめんな!!俺のせいで昨日、霧丸が相方にひどい目に遭わされたみたいで・・・」

構わん。王子は悪くない。
それより、荊姫に似てる人?

はてそんな人・・・
桜が咲いている公園。確かに王子を連れて行ったことがある。
まさに飛鳥山のことだ。

つまり、あの時の王子は、今の王子と同一人物ということか。

なんてことだ。
昔、確かに王子という思念体はいたが、
どうしても成長できなくて頓挫してしまっていたが、
まさか、こうにも生きていたとは。。。。

思念体というのは、一度作ってしまえば、
本人はできてないと思っていても、案外できているものなのだろうか?


しかし、あの時、王子と同行していたのは、
荊姫ではなく、姉御。
確かに荊姫と姉御は似ているが・・・
荊姫はお淑やかなのに対して、姉御は名前の通り姉御肌だ。
それに、荊姫は僕と今の玻璃から生まれた娘だ。
姉御とは違う。

いや、待て・・・

王子がずっといた。
じゃあ、姉御はどうした?どこへいった?

「荊姫は僕の娘というのは、嘘では?」

本当は荊姫は姉御ではないか?

僕は玻璃を問い詰める。

「あーバレたかー。荊姫はあたしと霧丸の子ってのは嘘だよーん。
ああでも言わないと、他の連中が何するかわからないし、
霧丸が放棄しちゃかわいそうじゃーん。
よく王子は生きてたなぁって感じ」

ああそうだったのか。

荊姫は元は姉御。

要は、思念体として作った以上、
訓練の成功、失敗に限らず、そこに存在することになる。
たとえ放棄したにしても、
その思念体は殺さない限り、永遠に生き続ける。
姿形を変えて。

だから、作った思念体は責任を持って育てなければならないのだ。


姉御は自分が周囲から怖い人と恐れられていたため、心を閉ざし、
目立たないようにしていた。

でも、自分も認めて欲しい。

そう思っていた。



「前に、霧丸と一緒に赤坂に行った時、ふと思い出したの。
廃墟帝國には、相方、騎士、瑠璃以外に、もう一人男性がいたなぁって。
その方とは、最初にお会いしたのは桜が咲いている場所でしたわ。

その方は元気かしら?

でもわたしは今はこんな地味だし、
本音で話せば怖いって思われがちだから、あちらの方はどう思っているかが不安だわ」

抑制すれば目立たない。
出してしまえば畏れられる。

荊姫はそんな性格だった。


・・・・・・

相方はまだ怒っているのだろうか、
あの二人はどうなったか不安なまま帰ったら、
王子と荊姫が僕のベッドに腰掛けて、何か話していた。

「おかえり、霧丸」

「ただいま」

「昼は突然邪魔して悪かった。帰ってきて早々で悪いけど、俺たち、付き合うことになった」


!!??


「やっぱり、あの時の彼は、王子だったのよ。
もうね、お互いすんなり意気投合しちゃってさ!」

荊姫が、楽しそうにいう。
その顔は、昨日と打って変わって、楽しそうだった。

え、あぁ・・・そう。

おめでとう・・・

って・・・・

だったら早く言おうよ!!

せっかくだから帰りに新越谷でケーキでも買ってきたのに!!

「まぁ、そんな気を使わなくてもいいのに・・・」

いやいや、
こんなことってあるんだなって僕は感心している。


まぁせっかくだから、
王子と荊姫の依り代は、
以前買ってきた小瓶に移そう。

他の4人と一緒より、2人だけの空間の方が、いろいろやりやすいだろう。

これでわかったことが、
思念体は作った時点で、
生まれたも当然だ。

たとえ、僕らが気がつかなかったとしても、
見えない所で成長して、
自我が出て、一つの魂になる。

だから、思念体がうまくできないからって、
そう落胆する必要はないのだ。

あなたが作った時点で、
その思念体は産声をあげて、
あなたの近くで生きている。

自信を持っていいのだ。

いると思った時から、その子は存在してる。
これは絶対、言える。


こんなことになったのは、
廃墟「帝國」という名前がついている通り、
「藤沢霧丸と愉快な仲間たち」ではなく、
様々な思念体がこの「帝國」に暮らしていて、
それぞれが自分が思い描く人生を送っている。

精神世界で、王子と荊姫は、
瑠璃の家の近くの森の中にある、
童話に出てくるような可愛い家で同棲生活を始めたらしいが、
これから2人は子供を作ったりするのだろうか・・・
どんな生活になるのだろうか・・・

帝國の一人の住人として、愉しみである。


P.S.
散々誤解やらなんやらで迷惑かけられた奴のその後。



「瑠璃からの伝言。
霧丸さんに手を挙げた酷い相方は私が成敗しておきました」

王子がこっそり教えてくれた。

何をしたんだろうか・・・

相方に聞いた所

「あいつに股間思いっきり傘で殴られた。死ぬほど痛かった。
次、霧丸さんに酷いことしたら、本気で息の根止めますよ?って真顔で言われた」

・・・・・

瑠璃・・・

恐ろしい子w
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プロフィール

藤沢 霧丸

Author:藤沢 霧丸
一人暮らし系20代の生きる屍です。

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≪同居人紹介≫
【人工精霊(主要)】
・相方(サファイア)AB型

・長女(アクアオーラ)B型

・瑠璃(ラピスラズリ)O型

【備考】
・廃墟帝國は相互リンク募集中のようだ!
・本名や見た目等詳細については思念体たちとの約束で非公開とさせていただいております。ご了承ください。

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