2019-07-04 16:25 | カテゴリ:霧丸の戯言
もう殺してくれ。
その言葉通り、
僕は騎士を殺した。


死に際に、騎士は笑っていた。

それが逆に辛くてね…


どうしてこうなった。

騎士が自滅したわけではない。
騎士がやった事は、当たり前のことだ。


悪いのは、藤沢霧丸の傲慢な態度だ。

努力をするわけでもなく、
ギターが弾けるようになる力を欲し、
努力はしないけど、底辺(アニオタ)は嫌だと言う。

最高に矛盾している。

時間がないと言っても早起きするわけでもない。

環境が悪いと言っても、そりゃあ隣の部屋と距離が近いベッドの上で練習していたら隣を気にする事になる。だったら角部屋なんだから、大通り側になるように工夫すればいい。それもしなかった。

難しいと言う割には、教室に通うわけでもない。
休日はギターを持って実家に行くも、母親も居るからと言い訳して、自主練もしない。師匠である親父に質問もしない。

自分でアニオタになろうとしているのに、
アニオタになりたくないと嘆く。
池袋をゴミ捨て場などと怒る。

だから練習をやった。
毎日30分早起きして、ギターに向かった。

アニメも無駄に観るのをやめた。
つまらないと思ったら、容赦なく切り捨てた。

そしたら今度は、騎士はヒートアップしてしまい、
アニメは全て敵、アニオタの同級生などの友人とも縁を切れ、朱に交われば赤くなるからといいだした。仕事も途中早退した。
帰宅が遅くなったら、練習できなくて飯食いながらオタアニメを観て…という生活になってしまうから。

頼みの綱だった忍たまがオタク臭くなってて失望し、オタクになる事を拒んだ僕と、

僕を立派にギター弾けるようにして、
相方を見返してやることを目的にしていた騎士の利害が一致した。

そんなことをして、
信頼や友情を簡単に捨てていいのか?


騎士は後悔したのだった。

自分がやっていた事は、ただの復讐だったのだと。
復讐は何も生まない。
やればやるだけつらくなる。
復讐を止めるためには負の感情を、止める事しかないのだ。

それを知るには、騎士は遅すぎた。

だから、殺してくれなんて言ったのだろうか?

なんて都合がいい解釈か。



一方で、藤沢霧丸が得た事は、
力が欲しければ、努力するしかないという事だ。

ギターが弾けるようになりたいなら、
ゆっくり、慌てなくて構わないから精一杯練習して、経験値を貯めるしかないのだ。

ギターが弾ける思念体が欲しいとか、
そんなこと言ってる暇があったら、コードの1つ2つ覚えろ、弦を弾けって感じだ。
結局、自分が動かない事には何も始まらないのだ。

今僕は、Fコードの練習で手首を痛めて、
手にサポーターをしているが、
不思議と後悔とか、そんな感じがしない。
むしろ、清々していた。

たしかにアニメを観ることを趣味にしているなら、
こんな思いはしなかっただろう。

でも、お陰でFが弾けるようになった。
Fの壁は超えられた。

そう思うと、これくらいどうってことないさ。

でも、騎士が消えてから、
誰も練習しようとか言ってくれなくなった。

どうしよう・・・

ふと後ろを見ると、姉御がいた。

「騎士の件は気の毒だったわね・・・
特に騎士は、霧丸が最初に作ったキャラがモデルだものね・・・

ギターが上手くなるか、ただのアニオタになるか、
それは、霧丸の努力次第よ。
霧丸がちゃんと努力すれば、力だって自然とついてくる。
現に貴方の演奏を陰で聞いていたけど、進歩しているのは事実よ。

Fの壁突破おめでとう。


騎士がいなくなって、練習を疎かにすれば、
当然力はつかない。結果、ただのアニオタに転落することになるのよ。
どうしたいかは、霧丸自身が決めること。わかった?

ただし、霧丸が他に大切にしている事まで捨てるようなら、
私は容赦なく止めるから。

あなたはお父様がなんで家族から騒音おじさんと呼ばれていたか、
しっかり思い出してよ?」

姉御が怪しく嗤った。

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