2019-04-12 16:02 | カテゴリ:ちびさわ日記
ちびさわが死んだ。

いや、ちびさわは殺された。


今までちびさわだと思っていたのは、
相方が作り出したまやかしだった。

相方は僕が高校時代、
逃げたいくらい辛かった時に作ったIF的存在で、
ちびさわという幻影を作って、自分を隠していた。

僕は相方に改めてお礼を言った。
今まで辛い時も、どんなときも一緒にいてくれてありがとうと・・・

もう、まやかしは辞めてくれ。
こんなことをしても誰も何も得をしない・・・

そう言おうとした時だった。

誰かが相方の部屋に入ってきた。


瑠璃だった。


手には大きな鉈のような刃物を持っていて、
刃には血のような赤いものがついている。

メガネの下の眼は恐ろしく、
息も荒い。

「見つけた・・・この黒幕が!!霧丸さん!!離れてください!!・・・・・この男は私が成敗します!!」

瑠璃が相方に襲いかかった。

「瑠璃、待て!!なんでそんな荒ぶってるんだ!!」

僕は相方の手を引いて逃げる。


どこへ逃げるか迷う。

藤沢島から、サナトリウムに行ける。
瑠璃が暴走した旨を伝えれば、助けてもらえるか?

確か藤沢島からサナトリウムに行くには、
廃墟の病院を通って、奥のドアを開けるんだっけ?

モタモタしてると瑠璃に殺されると悟った僕らは、
立ち入り禁止の廃病院の入り口に入る。

廃病院は窓が全て板で覆われてるからか、
光無く薄暗く、
何か出てきてもおかしくない雰囲気だ。


いや、今はオバケより瑠璃の方が怖いか。


一階、二階…と階段を登って行き、
ようやく三階にたどり着く。

構造はよくわからんが、壁伝いに歩いてゆけば、行き止まりにドアがあるはず…



流石病院。


病室多すぎ…


そんな病室の一角に、
明かりが灯った部屋があった。

開けてみる。


聴こえてきたのは光GENJIの勇気100%。
そして壁一面に、至る所に、忍たま。

ブラウン管のテレビからも古い忍たまが映されている。

よく見ると、絵柄が今より古い。
作画が変わる前の旧世代の忍たまだ。

「キャハハー乱太郎、きり丸、しんべえ、今日は何して遊ぶ?」

子供の声が聞こえる。

「何この部屋…」

「これは、本当のちびさわだ…」

相方がバチが悪そうに言う。

これはヤバい。見てはいけないものを見てしまった。

「あ、お姉ちゃんご飯にしよう!お腹すいたでしょう?」

と、子供はスープのような食事を奥のベッドへと運んだ。

静かに見てみるとベッドには、
ぐったりした大人の女の子が縛られていた。

よくみるとそれは、長女だった。


ちびさわは、長女に食事を食べさせながら、
楽しそうに笑っていた。

「お姉ちゃんだけだよ・・・大人の霧丸も、所詮は瑠璃って人の味方して・・・結局ヒロアカにハマって、忍たまを捨てたいんだ・・・」

その時、後ろから殺気を感じた。



瑠璃だった。


「見つけました・・・今度こそ、成敗します!!」

瑠璃は相方に襲いかかるも、
相方が近くにあった消火器を振り回して反撃し、瑠璃を転倒させた。

「相方、瑠璃を抑えておいて!!」

その間に、僕はちびさわに近づく。


「大人の霧丸は、僕を殺して、瑠璃君と一緒に僕のヒーローアカデミアのファンになるの?」

「違う!!そんなつもりはない!!」

「嘘つき・・・大人はみんなそうやって僕を騙す・・・僕はもう騙されない!!」

そう言ったちびさわの頭に、何かが当たった。

相方が投げつけたようだ。

「てめぇ・・・それは瑠璃のスマホだ!!そのストラップ見てみろ!!それはお前が憎んでいる、僕のヒーローアカデミアのキャラクターか!!??」

???

僕も気になって見てみる。

確かに身に覚えがない赤い手帳型のスマホケースで、
ケースの下にはストラップがつけられるようになっていて、何かのラバストがついている。

よく見てみると、それは、家にある七松小平太のストラップだった。



「どうせ相方のスマホだろ!!僕を騙すために、わざと大人の僕の家からとったストラップを使って、
瑠璃君が好きだって嘘をついて・・・!!」


ちびさわはなおも信じない。


「これが俺のスマホだ」

といって見せたのは、青い手帳型カバーがかかったアンドロイド(S●NY?)のスマホだった。

「今から瑠璃のスマホに電話を掛ける」

といって、連絡先から瑠璃の電話番号を呼び出し、スピーカーモードにして電話を掛ける。


その七松小平太がついたスマホから流れてきたメロディーは・・・




聞き覚えがある曲だった。





勇気100%。


「はいそうです。sexyzoneの勇気100%です。ジュニアboysというアーティストが見当たらなかったのでsexyzoneで代用しました」

瑠璃が代わりに代弁する。


(どうでもいいけど現実の僕の着信音は光GENJI版である)



「よろしかったら、待ち受け画面も見て見てください」

!?


それを見て、僕は唖然とする。

不在着信を伝える通知と時計の背景・・・




それは、忍たま乱太郎の六年生の集合画像だった。


「瑠璃・・・これはどーいうことだ・・・」

「私は潮江や小平太といった忍たまの六年生が大好きです。
だから・・・忍たまが嫌いだからヒロアカを勧めたんじゃないってわかって欲しかったんです・・・
私も、あの時忍たまなんて!!って売り言葉に買い言葉で返してしまったから、こんなことになってしまった・・・
でも、霧丸さんは夢中になると周りが見えなくなってしまう。そのせいで、損をしてしまうことになるのを止めたかったんです・・・だから私はヒロアカを・・・」


「瑠璃・・・そうか・・・お前も霧丸が大好きだったんだな・・・」

相方が瑠璃を抑えていた手を離す。
瑠璃は立ち上がって、鉈を手に取った。

「霧丸さん、そこを退いてください。ちびさわは過去の霧丸さん・・・死人はあの世へ返すべきです!!」

「待て、そうだとしても、俺がやる!!」

瑠璃から鉈を取り上げようとする。

「いいです。私がやります。悪いものを退治する妖怪。なんていうのも素敵でしょう?

私は、忍たま乱太郎を見てたから、僕のヒーローアカデミアに興味を持てました。
個性とか、なんかどこかいい意味で似てる気がして・・・

だから、信じてください・・・私が・・・忍たまを憎んでいたんじゃないってことを!!

でも、このままこの子を許していたら、あなたはいつまでも同じ場所にしか止まれない。
そうなったら霧丸さんはいつまでも同じことの繰り返しになってしまいますよ・・・」


「・・・」

僕は黙ってその場を譲った。



「え・・・どうして・・・僕を殺すの?やめてよ!!」



「さようなら・・・過去の霧丸さん・・・私は、忍たまを絶対に嫌いになんてなりませんから!!」

瑠璃の鉈が、ちびさわを頭から真っ二つにした。


幸せな場所は一気に、血なまぐさい殺人現場になった。

「何がインナーチャイルドだ・・・そんなことして、霧丸さんが逆に忍たま以外いらないってなったらどーするんだ・・・」

相方が、おもしろそうにいう。

「へぇ・・・お分かりなんですね。てっきり、相方さんも騙されてるのかと思ってましたよ。だからコイツを庇うなら、成敗しようと思ったわけです。誤解してすみませんでしたね」

瑠璃がちびさわの死体をゴミを見る目で見つめた。





「霧丸さん・・・本当ですよ。私は、ヒロアカも好きですけど、忍たまはもっと大好きです」

血まみれの瑠璃が、目の前に七松小平太のラバマスがついたスマホを目の前に見せて、ニコリと笑った。


最初に長女を作った時に願った、

「一緒に忍たまを見てくれる仲間が欲しい」

この願いが、まさかこんなに大事になるなんて、思ってもいなかったと痛感した。



(続くかも?)

管理者のみに表示する